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Official Translation Requests Thread (New forum)

Bam's instincts, sharpened to an extreme through mimicry with Leviathan, could perceive even the slightest movement of Dumas's muscles or the trembling of each and every hair. However, what he felt from the present Dumas was an 'all-engulfing force' that seemed to devour everything. But what was felt from the present Dumas was only an 'extremely rigid power' that seemed to devour everything. That power was clearly/undeniable close to the 'transcendent' beings that exist in this tower. While it was not comparable to the Ten Great Families or Jahad encountered in data form in terms of rank, the power radiating from the shining weapon on that arm was so overwhelming that it might even rival them.
"I must close the distance before that weapon activates! Khun and Rak don’t have much time left. Somehow—!"
Is it "it might rival them " or the statement here outright states it is powerful enough to rival them? Saw few other translation while I was reading the Manhwa translation differed based on different groups so need some clarification on this.
 
Can someone please translate this? I'm wondering if they are talking about actual dimensions and not universes.
他仔细看去,混沌分为无数时空,有平行,有叠加,错综复杂,其中天道所处的时空有两股强大力量加持,比其他时空更现稳固。
 
Can someone please translate this? I'm wondering if they are talking about actual dimensions and not universes.
"He looked carefully and saw that the chaos was divided into countless spacetimes/time and space—some parallel, some overlapping, intricately complex. Among them, the spacetime where the Heavenly Dao resided was reinforced by two powerful forces, making it appear more stable than the others."
I'm wondering if they are talking about actual dimensions and not universes.
Wdym?
 
Yo. Small request.



Can anbody translate this? Semi-important as it talks about parallel universe aren't infinite in Toaru. A jap-speaker relayed this (and provided the imgur) in the toaru discussion thread. Just wanna double check.
 
Yo. Small request.



Can anbody translate this? Semi-important as it talks about parallel universe aren't infinite in Toaru. A jap-speaker relayed this (and provided the imgur) in the toaru discussion thread. Just wanna double check.

He's correct. It says it's a single line and that there aren't infinite parallel worlds.
 
The energy produced when antimatter made contact couldn't be controlled, it was annihilated because of the recoil that leaked out.
Can it be referring to her arms? Here is the fuII context:
カレラにしても、余裕が無いという点では同様である。

 "終末崩縮消滅波アビスアナイアレーション"の行使により、両腕が消滅していた。

 反物質を接触させた際に生じたエネルギーを操作しきれず、漏れ出た反動により消し飛んだのだ。

 その際に受けたダメージにより、身体の各部にダメージを受けて立っているのが不思議な状態であった。
 
Need help translating these
1.
宙に浮く白い石畳の上を、幼いエンネスオーネが走っていく。

そのすぐ後ろをゼシアが追いかけ、それをエレオノールが追う。少し離れて、俺とミーシャたちが追走していた。

やがて、石畳の先が、純白の光に包まれているのが見えてきた。

魔眼めを凝らしてみても、光の奥になにがあるのか、知ることはできぬ。

エンネスオーネがその光の中に飛び込んでいき、迷わずゼシアが後を追った。

俺たちの目の前に、その純白の光が迫ってくる。

「ちょっと、これ、大丈夫なんでしょうねっ? 帰れなくなったりしないっ?」
慌てたようにサーシャが言った。

「くはは。そう心配するな。たとえ、幾億の次元を越え、神界の遙か深層に行き着こうとも、帰れなくなったりはせぬ
[...]
「……あの神界の門が、この異界につながってたってことよね……?」

サーシャが、確認するように言葉をこぼす。

『ようこそ、ゼシア、エレオノール。それから、魔王アノス』

エンネスオーネがこちらを振り向き、歓迎するように言った。

少女の頭の小さな翼がファサッと動く。

『ここは、芽宮神都がきゅうしんとフォースロナルリーフ』

幼い声で、彼女は告げる。

『神々の蒼穹へ続く神域の一つなの』

「ふむ。神界の門と神々の蒼穹には、狭間があると聞いているが、この都がそうか?」

『うん。この神都の深層にもう一つの神界の門があるの。そこが神々の蒼穹につながってるよ?』

芽宮神都フォースロナルリーフといったか。

神界の門をくぐったすぐ先にあるのなら、知っていそうなものだが、聞き覚えはない。

忘れたのか。それとも、俺が転生した後にできたものか?

2.
「この子は、まだ生まれてはいない、生まれかけの秩序です。この子をわたくしの権能で生誕させてほしいというミリティアからのメッセージだと思いました」

優しい母のように、ウェンゼルはエンネスオーネを見つめる。

「エンネスオーネに、わたくしは精一杯の力を注ぎました。そうして、エンネスオーネの秩序は芽吹き、この芽宮神都フォースロナルリーフが誕生しました」

「んー、なんでエンネちゃんを誕生させようとしたら、街ができちゃったんだ?」

エレオノールが疑問を浮かべる。

「痕跡神が有する痕跡の大地や、ナフタの限局世界のように、エンネスオーネの秩序が具現化しできたのが、この都というわけだ」

俺の言葉に、ウェンゼルはうなずく。

「魔王アノスの言う通りです。しかし、生誕神の秩序をもってしても、エンネスオーネは依然として根源胎児のまま、生まれることができませんでした」

3.
ミーシャが目の前を指さす。

鮮やかな蒼穹に星のように散りばめられているのは、黄金の火山や白色の湖、いばらの大地、車輪のような街など、色とりどりの様々な風景だ。

「ここが神々の蒼穹。見えている風景は、どれも神域」

エンネスオーネの芽宮神都や、ナフタの限局世界と同じものだ。

確かに、どれもこれも、凄まじい魔力を発している。

神界だけあって、その力を最大まで発揮できるのだろうな。

4.
「この神域の花、咲き続ける一三万株が開花神である彼の命です。一割程度なら問題ありませんが、三割以上が枯れてしまったら、もう……」

「じゃ、新しい花を咲かせればいいんじゃないかな?」

人差し指を立てて、エレオノールが言う。

けれども、ウェンゼルは首を左右に振った。

「各々の神域は、世界の縮図。世界の根源の上限が決まっているように、ダ・ク・カダーテの火露の数は決まっていて、この神域の花の数も決まっています」

枯れた花も一本と数えるため、生誕神の力でも一三万より増やすことはできぬのだろう。

ウェンゼルの秩序もまた、大きな秩序の歯車の一つだ。

「大丈夫っ。できるよ」

エンネスオーネが言った。

「エンネスオーネを使って。まだ不完全だけど、エンネスオーネは神の秩序に囚われない、魔王の魔法だよっ」

5.
ミーシャは一度瞬きをする。

その瞳が白銀に染まり、二度目の瞬きで<創造の月>へと変わった。

<源創げんそうの神眼>である。

瞬間――周囲が真白に染まった。

「見てるから。大好きなわたしの妹を」

なにもない真っ白な空間に、氷の雲が創造される。次いで氷の大地が構築され、草花や木々が生えた。氷の山が盛り上がり、大きな海が出現する。

『氷の世界』

ミーシャの声が<思念通信リークス>で響く。

俺たちは、彼女が創り出した氷の世界の中にいた。

眼下には、戸惑ったような様子のエレオノールが見える。

ゼシア、エンネスオーネ、ウェンゼル、ウェズネーラも飲み込まれたようだ。

「出してよっ、ミリティアッ! 出しなさいっ!」

『そこにいて。もう時間がない』

サーシャが<破滅の魔眼>を氷の世界へ向ける。

氷という氷が砕け散るも、世界自体はびくともしない。
[...]
俺は目の前に手をかざし、多重魔法陣を描く。

それを砲塔のように幾重にも重ねていき、標準を空へ向けた。

漆黒の粒子が激しく渦を巻き、魔法陣の砲塔に絡みつく。

強力な魔法の余波が、空気を震撼させ、氷をどろりと溶かしていった。

サーシャを守るように、俺はその体を抱きよせる。

ウェンゼルとエレオノールたちは空へ飛び上がり、全員で魔法の結界を構築していた。

黒き粒子が砲塔を中心に七重の螺旋を描く。

氷の大地と空を四つに分けるが如く深い亀裂が走った。

「<極獄界滅灰燼魔砲エギル・グローネ・アングドロア>」

魔法陣の砲塔から、終末の火が放たれる。

七重螺旋を描くその暗黒の炎は、終わりを予感させる轟音とともに空へ向かい、なにもかもを蹂躙しながら直進した。

二千年前の創造神ミリティア、破壊神アベルニユー、魔王アノス・ヴォルディゴードの魔力を借りる起源魔法。

ミリティア本体には効かぬが、彼女が創った世界なら話は別だ。

終末の火が、空の果てに到達し、そして世界の一切が炎上した。

氷の雲が燃え、どこまでも広がる空が燃え、大地や山々が燃え、あらゆるものが黒き灰に変わっていく。

そうして、世界はただ白と黒に染め上げられた。

だが、その枠組み自体は健在だ。

その証拠に、俺たちは芽宮神都に戻っていない。

6.
様々魔眼を変化させ、見えぬ力と波長が合わぬか探っていく。

しかし、俺がコツをつかむより先に、目の前の黒穹に銀色の光が溢れ出した。

その銀の光へ向かい、船はまっすぐ進んでいく。

次第に、少しずつ、黒き空が銀に染まる。

なおも船は加速し、そして目の前に無数の泡が流れていったのが見えた。

『これは……?』

辺りの光景に、レイが息を飲む。

シンでさえも驚愕を隠せぬように、視線を険しくしていた。

銀色の光がこぼれる海の中に、俺たちはいた。

背後を振り返れば、そこにあるのは果てしなく巨大な、銀の光を放つ丸い泡だ。

魔眼めを凝らしてみれば、確かに創造神ミリティアの魔力が見える。

この銀の泡が、俺たちがいた世界。

つまり、その外へ出たのだ

『ふむ。ミーシャに<思念通信リークス>が届かぬな』

彼女とは<魔王軍ガイズ>の魔法線がつながっている。

にもかかわらず、殆どそれは機能していない。

7.
瞬間――

ギェテナロスの神眼を、あるものが横切った。

キラキラと飛び散る破片。

水晶の破片だ。

それが、まるで輝く砂嵐のように、転変の空を覆いつくしていく。

秩序と秩序が鬩ぎ合うように、樹冠天球に、もう一つの神域が出現する。

[...]

「これは? 未来神の……至高世界――?」

訝しむようにギェテナロスは言い、頭を振った。

「そんなわけがないさ。飛べる未来が一つでもあれば、その未来は実現するからって、この樹冠天球を飛べる未来なんてあるわけが……」

「ナフタは否定します――」

空がぐにゃりと歪み、青緑のローブを纏った少女が姿を現す。

肩まで伸ばした藍色の髪。右眼には紅く光るディードリッヒの竜眼、左眼には自らの蒼き神眼が輝いていた。

「未来はなに一つ決まってはいません。ナフタの愛とともにそこには無限の可能性が広がり、人々は希望を胸に、よりよい未来をつかみとる。竜騎士団よ、恐れることはありません」

未来神の静謐な声が、樹冠天球に響き渡る。

「あなたたちの希望が輝く限り、ナフタがその未来を実現します。ともにつかみとりましょう。我らアガハの未来を」

8.
ひらりと舞い上がり、ギェテナロスは、いとも容易くディードリッヒから離れた。

チクタク、チクタク、と時計の針を連想させるような曲が響く。

ギェテナロスの目の前に現れたのは、四六個の未来世水晶カンダクイゾルテだ。

「キミの弱点見つけたよー。未来神ナフタの権能。勿論、彼女がその神眼めを失う前の、完全な未来が見えるカンダクイゾルテさ」

カンダクイゾルテが二つ、ギェテナロスの両眼に吸い込まれていく。

その未来神の神眼にて、奴はディードリッヒを見下ろした。

「ざーんねん。この神眼めには、キミの敗北が映っているよ」

[...]

「無駄なことはキミが一番よくわかっているはずさ、ナフタ? 理想だのなんだの口にしたところで、結局はただ未来が見えなくなっただけ。不確かさを希望だなんて、そんな愚かな話はないさ」

ディードリッヒが橋を蹴り、転変神へ向かって飛び上がる。

<憑依召喚アゼプト>を封じる隙をついたその策は、しかし、ギェテナロスの神眼がすでに見通していた。

迎え撃つが如く、四四本のカンダクイゾルテの槍がディードリッヒに降り注ぐ。

「ぬああああああああぁぁぁっ……!!!」

<竜闘纏鱗ガッデズ>がこれまでで一番濃く浮かび上がり、背後に浮かんだ剣翼の竜は、二つの翼を合わせ、一本の大剣とした。

そこに<竜ノ逆燐ノジアズ>が集い、鈍色に輝く。

「預言者じゃなくなったキミにはわからないだろうから、予言してあげるよー。キミたちはここで滅び、そして世界は終滅の光に灼かれる。未来はもう決まっているのさ」

カンダクイゾルテの槍が、やはりディードリッヒの拳をすり抜け、次々と彼の体を抉っていく。

血が溢れ出し、剣帝の魔力が空に散った。

「いいえ、転変神」

そのカンダクイゾルテの剣を、ナフタは内側から水晶玉に突き刺していた。

「ディードリッヒとナフタ、この両眼めが希望を見つめている限り、未来は決して決まっていない」

限局されたはずのナフタの剣が、しかし、未来世水晶を粉々に砕いた。

「それが魔王が教えてくれた、アガハの未来――そして、この世界の未来です」

ギェテナロスが、驚愕したようにその神眼めを丸くする。

すべての未来を見るはずの神眼が、見逃した未来。

かつての未来神ナフタが辿り着けなかった光景が、そこにあった。
 
Need help translating these
1.
宙に浮く白い石畳の上を、幼いエンネスオーネが走っていく。

そのすぐ後ろをゼシアが追いかけ、それをエレオノールが追う。少し離れて、俺とミーシャたちが追走していた。

やがて、石畳の先が、純白の光に包まれているのが見えてきた。

魔眼めを凝らしてみても、光の奥になにがあるのか、知ることはできぬ。

エンネスオーネがその光の中に飛び込んでいき、迷わずゼシアが後を追った。

俺たちの目の前に、その純白の光が迫ってくる。

「ちょっと、これ、大丈夫なんでしょうねっ? 帰れなくなったりしないっ?」
慌てたようにサーシャが言った。

「くはは。そう心配するな。たとえ、幾億の次元を越え、神界の遙か深層に行き着こうとも、帰れなくなったりはせぬ
[...]
「……あの神界の門が、この異界につながってたってことよね……?」

サーシャが、確認するように言葉をこぼす。

『ようこそ、ゼシア、エレオノール。それから、魔王アノス』

エンネスオーネがこちらを振り向き、歓迎するように言った。

少女の頭の小さな翼がファサッと動く。

『ここは、芽宮神都がきゅうしんとフォースロナルリーフ』

幼い声で、彼女は告げる。

『神々の蒼穹へ続く神域の一つなの』

「ふむ。神界の門と神々の蒼穹には、狭間があると聞いているが、この都がそうか?」

『うん。この神都の深層にもう一つの神界の門があるの。そこが神々の蒼穹につながってるよ?』

芽宮神都フォースロナルリーフといったか。

神界の門をくぐったすぐ先にあるのなら、知っていそうなものだが、聞き覚えはない。

忘れたのか。それとも、俺が転生した後にできたものか?

2.
「この子は、まだ生まれてはいない、生まれかけの秩序です。この子をわたくしの権能で生誕させてほしいというミリティアからのメッセージだと思いました」

優しい母のように、ウェンゼルはエンネスオーネを見つめる。

「エンネスオーネに、わたくしは精一杯の力を注ぎました。そうして、エンネスオーネの秩序は芽吹き、この芽宮神都フォースロナルリーフが誕生しました」

「んー、なんでエンネちゃんを誕生させようとしたら、街ができちゃったんだ?」

エレオノールが疑問を浮かべる。

「痕跡神が有する痕跡の大地や、ナフタの限局世界のように、エンネスオーネの秩序が具現化しできたのが、この都というわけだ」

俺の言葉に、ウェンゼルはうなずく。

「魔王アノスの言う通りです。しかし、生誕神の秩序をもってしても、エンネスオーネは依然として根源胎児のまま、生まれることができませんでした」

3.
ミーシャが目の前を指さす。

鮮やかな蒼穹に星のように散りばめられているのは、黄金の火山や白色の湖、いばらの大地、車輪のような街など、色とりどりの様々な風景だ。

「ここが神々の蒼穹。見えている風景は、どれも神域」

エンネスオーネの芽宮神都や、ナフタの限局世界と同じものだ。

確かに、どれもこれも、凄まじい魔力を発している。

神界だけあって、その力を最大まで発揮できるのだろうな。

4.
「この神域の花、咲き続ける一三万株が開花神である彼の命です。一割程度なら問題ありませんが、三割以上が枯れてしまったら、もう……」

「じゃ、新しい花を咲かせればいいんじゃないかな?」

人差し指を立てて、エレオノールが言う。

けれども、ウェンゼルは首を左右に振った。

「各々の神域は、世界の縮図。世界の根源の上限が決まっているように、ダ・ク・カダーテの火露の数は決まっていて、この神域の花の数も決まっています」

枯れた花も一本と数えるため、生誕神の力でも一三万より増やすことはできぬのだろう。

ウェンゼルの秩序もまた、大きな秩序の歯車の一つだ。

「大丈夫っ。できるよ」

エンネスオーネが言った。

「エンネスオーネを使って。まだ不完全だけど、エンネスオーネは神の秩序に囚われない、魔王の魔法だよっ」

5.
ミーシャは一度瞬きをする。

その瞳が白銀に染まり、二度目の瞬きで<創造の月>へと変わった。

<源創げんそうの神眼>である。

瞬間――周囲が真白に染まった。

「見てるから。大好きなわたしの妹を」

なにもない真っ白な空間に、氷の雲が創造される。次いで氷の大地が構築され、草花や木々が生えた。氷の山が盛り上がり、大きな海が出現する。

『氷の世界』

ミーシャの声が<思念通信リークス>で響く。

俺たちは、彼女が創り出した氷の世界の中にいた。

眼下には、戸惑ったような様子のエレオノールが見える。

ゼシア、エンネスオーネ、ウェンゼル、ウェズネーラも飲み込まれたようだ。

「出してよっ、ミリティアッ! 出しなさいっ!」

『そこにいて。もう時間がない』

サーシャが<破滅の魔眼>を氷の世界へ向ける。

氷という氷が砕け散るも、世界自体はびくともしない。
[...]
俺は目の前に手をかざし、多重魔法陣を描く。

それを砲塔のように幾重にも重ねていき、標準を空へ向けた。

漆黒の粒子が激しく渦を巻き、魔法陣の砲塔に絡みつく。

強力な魔法の余波が、空気を震撼させ、氷をどろりと溶かしていった。

サーシャを守るように、俺はその体を抱きよせる。

ウェンゼルとエレオノールたちは空へ飛び上がり、全員で魔法の結界を構築していた。

黒き粒子が砲塔を中心に七重の螺旋を描く。

氷の大地と空を四つに分けるが如く深い亀裂が走った。

「<極獄界滅灰燼魔砲エギル・グローネ・アングドロア>」

魔法陣の砲塔から、終末の火が放たれる。

七重螺旋を描くその暗黒の炎は、終わりを予感させる轟音とともに空へ向かい、なにもかもを蹂躙しながら直進した。

二千年前の創造神ミリティア、破壊神アベルニユー、魔王アノス・ヴォルディゴードの魔力を借りる起源魔法。

ミリティア本体には効かぬが、彼女が創った世界なら話は別だ。

終末の火が、空の果てに到達し、そして世界の一切が炎上した。

氷の雲が燃え、どこまでも広がる空が燃え、大地や山々が燃え、あらゆるものが黒き灰に変わっていく。

そうして、世界はただ白と黒に染め上げられた。

だが、その枠組み自体は健在だ。

その証拠に、俺たちは芽宮神都に戻っていない。

6.
様々魔眼を変化させ、見えぬ力と波長が合わぬか探っていく。

しかし、俺がコツをつかむより先に、目の前の黒穹に銀色の光が溢れ出した。

その銀の光へ向かい、船はまっすぐ進んでいく。

次第に、少しずつ、黒き空が銀に染まる。

なおも船は加速し、そして目の前に無数の泡が流れていったのが見えた。

『これは……?』

辺りの光景に、レイが息を飲む。

シンでさえも驚愕を隠せぬように、視線を険しくしていた。

銀色の光がこぼれる海の中に、俺たちはいた。

背後を振り返れば、そこにあるのは果てしなく巨大な、銀の光を放つ丸い泡だ。

魔眼めを凝らしてみれば、確かに創造神ミリティアの魔力が見える。

この銀の泡が、俺たちがいた世界。

つまり、その外へ出たのだ

『ふむ。ミーシャに<思念通信リークス>が届かぬな』

彼女とは<魔王軍ガイズ>の魔法線がつながっている。

にもかかわらず、殆どそれは機能していない。

7.
瞬間――

ギェテナロスの神眼を、あるものが横切った。

キラキラと飛び散る破片。

水晶の破片だ。

それが、まるで輝く砂嵐のように、転変の空を覆いつくしていく。

秩序と秩序が鬩ぎ合うように、樹冠天球に、もう一つの神域が出現する。

[...]

「これは? 未来神の……至高世界――?」

訝しむようにギェテナロスは言い、頭を振った。

「そんなわけがないさ。飛べる未来が一つでもあれば、その未来は実現するからって、この樹冠天球を飛べる未来なんてあるわけが……」

「ナフタは否定します――」

空がぐにゃりと歪み、青緑のローブを纏った少女が姿を現す。

肩まで伸ばした藍色の髪。右眼には紅く光るディードリッヒの竜眼、左眼には自らの蒼き神眼が輝いていた。

「未来はなに一つ決まってはいません。ナフタの愛とともにそこには無限の可能性が広がり、人々は希望を胸に、よりよい未来をつかみとる。竜騎士団よ、恐れることはありません」

未来神の静謐な声が、樹冠天球に響き渡る。

「あなたたちの希望が輝く限り、ナフタがその未来を実現します。ともにつかみとりましょう。我らアガハの未来を」

8.
ひらりと舞い上がり、ギェテナロスは、いとも容易くディードリッヒから離れた。

チクタク、チクタク、と時計の針を連想させるような曲が響く。

ギェテナロスの目の前に現れたのは、四六個の未来世水晶カンダクイゾルテだ。

「キミの弱点見つけたよー。未来神ナフタの権能。勿論、彼女がその神眼めを失う前の、完全な未来が見えるカンダクイゾルテさ」

カンダクイゾルテが二つ、ギェテナロスの両眼に吸い込まれていく。

その未来神の神眼にて、奴はディードリッヒを見下ろした。

「ざーんねん。この神眼めには、キミの敗北が映っているよ」

[...]

「無駄なことはキミが一番よくわかっているはずさ、ナフタ? 理想だのなんだの口にしたところで、結局はただ未来が見えなくなっただけ。不確かさを希望だなんて、そんな愚かな話はないさ」

ディードリッヒが橋を蹴り、転変神へ向かって飛び上がる。

<憑依召喚アゼプト>を封じる隙をついたその策は、しかし、ギェテナロスの神眼がすでに見通していた。

迎え撃つが如く、四四本のカンダクイゾルテの槍がディードリッヒに降り注ぐ。

「ぬああああああああぁぁぁっ……!!!」

<竜闘纏鱗ガッデズ>がこれまでで一番濃く浮かび上がり、背後に浮かんだ剣翼の竜は、二つの翼を合わせ、一本の大剣とした。

そこに<竜ノ逆燐ノジアズ>が集い、鈍色に輝く。

「預言者じゃなくなったキミにはわからないだろうから、予言してあげるよー。キミたちはここで滅び、そして世界は終滅の光に灼かれる。未来はもう決まっているのさ」

カンダクイゾルテの槍が、やはりディードリッヒの拳をすり抜け、次々と彼の体を抉っていく。

血が溢れ出し、剣帝の魔力が空に散った。

「いいえ、転変神」

そのカンダクイゾルテの剣を、ナフタは内側から水晶玉に突き刺していた。

「ディードリッヒとナフタ、この両眼めが希望を見つめている限り、未来は決して決まっていない」

限局されたはずのナフタの剣が、しかし、未来世水晶を粉々に砕いた。

「それが魔王が教えてくれた、アガハの未来――そして、この世界の未来です」

ギェテナロスが、驚愕したようにその神眼めを丸くする。

すべての未来を見るはずの神眼が、見逃した未来。

かつての未来神ナフタが辿り着けなかった光景が、そこにあった。
Wow. I'm sad for the guy who'll do it.
 
Need help translating these
1.
宙に浮く白い石畳の上を、幼いエンネスオーネが走っていく。

そのすぐ後ろをゼシアが追いかけ、それをエレオノールが追う。少し離れて、俺とミーシャたちが追走していた。

やがて、石畳の先が、純白の光に包まれているのが見えてきた。

魔眼めを凝らしてみても、光の奥になにがあるのか、知ることはできぬ。

エンネスオーネがその光の中に飛び込んでいき、迷わずゼシアが後を追った。

俺たちの目の前に、その純白の光が迫ってくる。

「ちょっと、これ、大丈夫なんでしょうねっ? 帰れなくなったりしないっ?」
慌てたようにサーシャが言った。

「くはは。そう心配するな。たとえ、幾億の次元を越え、神界の遙か深層に行き着こうとも、帰れなくなったりはせぬ
[...]
「……あの神界の門が、この異界につながってたってことよね……?」

サーシャが、確認するように言葉をこぼす。

『ようこそ、ゼシア、エレオノール。それから、魔王アノス』

エンネスオーネがこちらを振り向き、歓迎するように言った。

少女の頭の小さな翼がファサッと動く。

『ここは、芽宮神都がきゅうしんとフォースロナルリーフ』

幼い声で、彼女は告げる。

『神々の蒼穹へ続く神域の一つなの』

「ふむ。神界の門と神々の蒼穹には、狭間があると聞いているが、この都がそうか?」

『うん。この神都の深層にもう一つの神界の門があるの。そこが神々の蒼穹につながってるよ?』

芽宮神都フォースロナルリーフといったか。

神界の門をくぐったすぐ先にあるのなら、知っていそうなものだが、聞き覚えはない。

忘れたのか。それとも、俺が転生した後にできたものか?
(宙に浮く白い石畳の上を、幼いエンネスオーネが走っていく。Chū ni ùkú shìróì ìshídátàmì nó ùé o, òsánáì Ennesuōne ga hàshítte ìkú.)
=
A very young Ennesuone runs atop the floating white stone paves.


(そのすぐ後ろをゼシアが追いかけ、それをエレオノールが追う。少し離れて、俺とミーシャたちが追走していた。Sònó sugu ushiro o Zeshia ga oikake, sore o ereonōru ga ou. Sukoshi hanarete, ore to Mīsha-tachi ga tsuisō ***** ita.)
=
Zeshia follows closely behind, followed by Ereonor. A little further back Misha, the others and I were chasing after them.


(やがて、石畳の先が、純白の光に包まれているのが見えてきた。Yagate, ishidatami nó saki ga, junpaku nó hikari ni tsutsuma rete iru no ga miete kita.)
=
Shortly, I could see the end of the stone paves surrounded by pure white light.


(魔眼めを凝らしてみても、光の奥になにがあるのか、知ることはできぬ。Maganme o korashite mite mo, kō nó oku ni nani ga aru no ka, shiru koto wa dekinu.)
=
Even if you squint your eyes really hard, you can not see what is beyond the light.


(エンネスオーネがその光の中に飛び込んでいき、迷わずゼシアが後を追った。Ennesuōne ga sono hikari nó naka ni tobikonde iki, mayowazu zeshia ga ato o otta.)
=
Ennesone jumped straight into the light, and Zethia followed without any hesitation.


(俺たちの目の前に、その純白の光が迫ってくる。Òrétáchì nó me no mae ni, sono junpaku nó hikari ga sematte kuru.)
=
The pure white light drew right before our eyes.


(「ちょっと、これ、大丈夫なんでしょうねっ? 帰れなくなったりしないっ?」Chóttò, kòré, dàíjōbù nan deshō ne...? Káèrenaku náttàri shinai...?)
=
"Hey wait, is this, is this safe? Won't we be stuck there?"


(慌てたようにサーシャが言った。Awateta yō ni Sāsha ga itta.)
=
Said Sasha while panicking.


(「くはは。そう心配するな。たとえ、幾億の次元を越え、神界の遙か深層に行き着こうとも、帰れなくなったりはせぬ。Kuhaha. Sō shìńpáí suru na. Tatoe, ikuoku no jigen o koe, shinkai no Haruka shìńsō ni ikitsukoutomo, kaerenaku nattari wa senu.)
=
"Haha, don't you worry. Even if we cross billions of dimensions and reach the deepest depths of the Heavenly Realm, you still won't be stuck there


(「……あの神界の門が、この異界につながってたってことよね……?」Ano shíǹkai no mon ga, konó ikai ni tsunagattetatte koto yo ne...?)
=
You mean that gate of the Heavenly Realm, leads to the Other World...?



(サーシャが、確認するように言葉をこぼす。Sāsha ga, kakunin suru yō ni kotoba o kobosu.)
=
Sasha spills the beans for verification/confirmation.


(『ようこそ、ゼシア、エレオノール。それから、魔王アノス』Yōkoso, Zeshia, Ereonōru. Sorekara, Maō Anosu)
=
Welcome Zeshia, Ereonor and Demon King Anos.


(エンネスオーネがこちらを振り向き、歓迎するように言った。Ennesuōne ga kochira o furimuki, kangei suru yō ni itta.)
=
Ennesuone turned to me and welcomed me.


(少女の頭の小さな翼がファサッと動く。Shōjo no atama nó chīsana tsubasa ga fasatto ugoku.)
=
The small wings on the little girl's head fluttered.


(『ここは、芽宮神都がきゅうしんとフォースロナルリーフ』Koko wa, Gakyu Shíǹto ga kyūshin to Fōsu Ronaru Rīfu)
=
This is the Gakyu Shrine and the Force Ronal Reef.


(幼い声で、彼女は告げる。Osanai koe de, kanojo wa tsugeru.)
=
In a young voice, she spoke to us.


(『神々の蒼穹へ続く神域の一つなの』Kamigami nó sōkyū e tsudzuku shíǹ'iki no hitotsuna no)
=
It's one of the holy sanctuaries leading to the blue skies of the gods.


(「ふむ。神界の門と神々の蒼穹には、狭間があると聞いているが、この都がそうか?」Fumu. Shíǹkai nó mon to kamigami nó sōkyū ni wa, hazama ga aru to kiite iruga, kono miyako ga sō ka?)
=
Hmm. I have heard that there is a chasm between the Gate of the Heavenly Realm and the Blue Skies of the gods, but is that the case with this capital?


(『うん。この神都の深層にもう一つの神界の門があるの。そこが神々の蒼穹につながってるよ?』Un. Kono shíǹto nó shinsō ni mōhitotsu no kami-kai no mon ga aru nò. Soko ga kamigami no sōkyū ni tsunagatteru yo)
=
There is another Gate of the Heavenly Realm within the depths of this divine city. It leads to the Blue Skies of the gods, you know?


(芽宮神都フォースロナルリーフといったか。Gakyu Shinto Fōsu Ronaru Rīfu to itta ka.)
=
Like the Gakyu Shrine and Force Ronal Reef.


(神界の門をくぐったすぐ先にあるのなら、知っていそうなものだが、聞き覚えはない。Shíǹkai nó mon o kugutta sugu saki ni aru nonara, shitte isōna monodaga, kikioboe wanai.)
=
If it's just beyond the Gate of the Heavenly Realm, I would've known, but I don't remember hearing about it.


(忘れたのか。それとも、俺が転生した後にできたものか?Wàsúréta no ka. Sòrétómò, òré ga téǹshō shìtá nòchí ni dèkítà mònó ka?)
=
Have I forgotten? Or was it something that was created after I reincarnated.
 
Last edited:
Someone please translate this. I need all possible types of translation available for this.
だがしかし、別次元世界アナザーワールドは存在しているのである。

Also can someone explain what are the different translation can be given to this Kanji 滅ぼした depending on different contexts?
 
Someone please translate this. I need all possible types of translation available for this.


Also can someone explain what are the different translation can be given to this Kanji 滅ぼした depending on different contexts?
(だがしかし、別次元世界[アナザーワールド]は存在しているのである。Dágà shìkáshì, bètsú-jìgéń sékàì [Anazā Wārudo] wa sonzáì shìté ìrú no deárù)
=
However, another dimensional-world [Another world], does indeed exist.

  [滅ぼした Hòróbóshìtá) is the Perfective-form [indicating Past-Tense] of (滅ぼす hòróbósù) which is "to destroy/ruin" or "overthrow" (like a castle)
 
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(だがしかし、別次元世界[アナザーワールド]は存在しているのである。Dágà shìkáshì, bètsú-jìgéń sékàì [Anazā Wārudo] wa sonzáì shìté ìrú no deárù)
=
However, another dimensional-world [Another world], does indeed exist.
So Another dimensional World and Another world is just interchangeable in this sentence?
  [滅ぼした Hòróbóshìtá) is the Perfective-form [indicating Past-Tense] of (滅ぼす hòróbósù) which is "to destroy/ruin" or "overthrow" (like a castle)
Ok thanks
didn't i translate it before?
I didn't understand the first sentence actually. It was confusing. Wanted any other possible translations
 
Basically yeah.
Considering "Another World" is basically the furigana-equivalent of "Another Dimensional-World"
I just want to add context do this.
Worlds are within dimensions.
"Dimensional-world" doesn't really have any sense context wise, unless it's something like "world in another dimension" ("another world" makes sense thougth). So what do you think is more accurate?
 
it pretty much can just be Another Dimension
This is how it's translated in the otl:

A single world was self-enclosed; there was no such thing as parallel worlds,
but there were so-called “other worlds,” residing in alternate dimensions.

The last 2 sentences are the ones in exam obviously. Anyway "another dimension" alone isn't really correct as it was talking about worlds. Do you think the otl is attendible? (It doesn't have any real problem contex-wise).
 
This is how it's translated in the otl:

A single world was self-enclosed; there was no such thing as parallel worlds,
but there were so-called “other worlds,” residing in alternate dimensions.


The last 2 sentences are the ones in exam obviously. Anyway "another dimension" alone isn't really correct as it was talking about worlds. Do you think the otl is attendible? (It doesn't have any real problem contex-wise).
As far as I can see yeah it seems fine.
 
2.
「この子は、まだ生まれてはいない、生まれかけの秩序です。この子をわたくしの権能で生誕させてほしいというミリティアからのメッセージだと思いました」

優しい母のように、ウェンゼルはエンネスオーネを見つめる。

「エンネスオーネに、わたくしは精一杯の力を注ぎました。そうして、エンネスオーネの秩序は芽吹き、この芽宮神都フォースロナルリーフが誕生しました」

「んー、なんでエンネちゃんを誕生させようとしたら、街ができちゃったんだ?」

エレオノールが疑問を浮かべる。

「痕跡神が有する痕跡の大地や、ナフタの限局世界のように、エンネスオーネの秩序が具現化しできたのが、この都というわけだ」

俺の言葉に、ウェンゼルはうなずく。

「魔王アノスの言う通りです。しかし、生誕神の秩序をもってしても、エンネスオーネは依然として根源胎児のまま、生まれることができませんでした」

3.
ミーシャが目の前を指さす。

鮮やかな蒼穹に星のように散りばめられているのは、黄金の火山や白色の湖、いばらの大地、車輪のような街など、色とりどりの様々な風景だ。

「ここが神々の蒼穹。見えている風景は、どれも神域」

エンネスオーネの芽宮神都や、ナフタの限局世界と同じものだ。

確かに、どれもこれも、凄まじい魔力を発している。

神界だけあって、その力を最大まで発揮できるのだろうな。

4.
「この神域の花、咲き続ける一三万株が開花神である彼の命です。一割程度なら問題ありませんが、三割以上が枯れてしまったら、もう……」

「じゃ、新しい花を咲かせればいいんじゃないかな?」

人差し指を立てて、エレオノールが言う。

けれども、ウェンゼルは首を左右に振った。

「各々の神域は、世界の縮図。世界の根源の上限が決まっているように、ダ・ク・カダーテの火露の数は決まっていて、この神域の花の数も決まっています」

枯れた花も一本と数えるため、生誕神の力でも一三万より増やすことはできぬのだろう。

ウェンゼルの秩序もまた、大きな秩序の歯車の一つだ。

「大丈夫っ。できるよ」

エンネスオーネが言った。

「エンネスオーネを使って。まだ不完全だけど、エンネスオーネは神の秩序に囚われない、魔王の魔法だよっ」

5.
ミーシャは一度瞬きをする。

その瞳が白銀に染まり、二度目の瞬きで<創造の月>へと変わった。

<源創げんそうの神眼>である。

瞬間――周囲が真白に染まった。

「見てるから。大好きなわたしの妹を」

なにもない真っ白な空間に、氷の雲が創造される。次いで氷の大地が構築され、草花や木々が生えた。氷の山が盛り上がり、大きな海が出現する。

『氷の世界』

ミーシャの声が<思念通信リークス>で響く。

俺たちは、彼女が創り出した氷の世界の中にいた。

眼下には、戸惑ったような様子のエレオノールが見える。

ゼシア、エンネスオーネ、ウェンゼル、ウェズネーラも飲み込まれたようだ。

「出してよっ、ミリティアッ! 出しなさいっ!」

『そこにいて。もう時間がない』

サーシャが<破滅の魔眼>を氷の世界へ向ける。

氷という氷が砕け散るも、世界自体はびくともしない。
[...]
俺は目の前に手をかざし、多重魔法陣を描く。

それを砲塔のように幾重にも重ねていき、標準を空へ向けた。

漆黒の粒子が激しく渦を巻き、魔法陣の砲塔に絡みつく。

強力な魔法の余波が、空気を震撼させ、氷をどろりと溶かしていった。

サーシャを守るように、俺はその体を抱きよせる。

ウェンゼルとエレオノールたちは空へ飛び上がり、全員で魔法の結界を構築していた。

黒き粒子が砲塔を中心に七重の螺旋を描く。

氷の大地と空を四つに分けるが如く深い亀裂が走った。

「<極獄界滅灰燼魔砲エギル・グローネ・アングドロア>」

魔法陣の砲塔から、終末の火が放たれる。

七重螺旋を描くその暗黒の炎は、終わりを予感させる轟音とともに空へ向かい、なにもかもを蹂躙しながら直進した。

二千年前の創造神ミリティア、破壊神アベルニユー、魔王アノス・ヴォルディゴードの魔力を借りる起源魔法。

ミリティア本体には効かぬが、彼女が創った世界なら話は別だ。

終末の火が、空の果てに到達し、そして世界の一切が炎上した。

氷の雲が燃え、どこまでも広がる空が燃え、大地や山々が燃え、あらゆるものが黒き灰に変わっていく。

そうして、世界はただ白と黒に染め上げられた。

だが、その枠組み自体は健在だ。

その証拠に、俺たちは芽宮神都に戻っていない。

6.
様々魔眼を変化させ、見えぬ力と波長が合わぬか探っていく。

しかし、俺がコツをつかむより先に、目の前の黒穹に銀色の光が溢れ出した。

その銀の光へ向かい、船はまっすぐ進んでいく。

次第に、少しずつ、黒き空が銀に染まる。

なおも船は加速し、そして目の前に無数の泡が流れていったのが見えた。

『これは……?』

辺りの光景に、レイが息を飲む。

シンでさえも驚愕を隠せぬように、視線を険しくしていた。

銀色の光がこぼれる海の中に、俺たちはいた。

背後を振り返れば、そこにあるのは果てしなく巨大な、銀の光を放つ丸い泡だ。

魔眼めを凝らしてみれば、確かに創造神ミリティアの魔力が見える。

この銀の泡が、俺たちがいた世界。

つまり、その外へ出たのだ

『ふむ。ミーシャに<思念通信リークス>が届かぬな』

彼女とは<魔王軍ガイズ>の魔法線がつながっている。

にもかかわらず、殆どそれは機能していない。

7.
瞬間――

ギェテナロスの神眼を、あるものが横切った。

キラキラと飛び散る破片。

水晶の破片だ。

それが、まるで輝く砂嵐のように、転変の空を覆いつくしていく。

秩序と秩序が鬩ぎ合うように、樹冠天球に、もう一つの神域が出現する。

[...]

「これは? 未来神の……至高世界――?」

訝しむようにギェテナロスは言い、頭を振った。

「そんなわけがないさ。飛べる未来が一つでもあれば、その未来は実現するからって、この樹冠天球を飛べる未来なんてあるわけが……」

「ナフタは否定します――」

空がぐにゃりと歪み、青緑のローブを纏った少女が姿を現す。

肩まで伸ばした藍色の髪。右眼には紅く光るディードリッヒの竜眼、左眼には自らの蒼き神眼が輝いていた。

「未来はなに一つ決まってはいません。ナフタの愛とともにそこには無限の可能性が広がり、人々は希望を胸に、よりよい未来をつかみとる。竜騎士団よ、恐れることはありません」

未来神の静謐な声が、樹冠天球に響き渡る。

「あなたたちの希望が輝く限り、ナフタがその未来を実現します。ともにつかみとりましょう。我らアガハの未来を」

8.
ひらりと舞い上がり、ギェテナロスは、いとも容易くディードリッヒから離れた。

チクタク、チクタク、と時計の針を連想させるような曲が響く。

ギェテナロスの目の前に現れたのは、四六個の未来世水晶カンダクイゾルテだ。

「キミの弱点見つけたよー。未来神ナフタの権能。勿論、彼女がその神眼めを失う前の、完全な未来が見えるカンダクイゾルテさ」

カンダクイゾルテが二つ、ギェテナロスの両眼に吸い込まれていく。

その未来神の神眼にて、奴はディードリッヒを見下ろした。

「ざーんねん。この神眼めには、キミの敗北が映っているよ」

[...]

「無駄なことはキミが一番よくわかっているはずさ、ナフタ? 理想だのなんだの口にしたところで、結局はただ未来が見えなくなっただけ。不確かさを希望だなんて、そんな愚かな話はないさ」

ディードリッヒが橋を蹴り、転変神へ向かって飛び上がる。

<憑依召喚アゼプト>を封じる隙をついたその策は、しかし、ギェテナロスの神眼がすでに見通していた。

迎え撃つが如く、四四本のカンダクイゾルテの槍がディードリッヒに降り注ぐ。

「ぬああああああああぁぁぁっ……!!!」

<竜闘纏鱗ガッデズ>がこれまでで一番濃く浮かび上がり、背後に浮かんだ剣翼の竜は、二つの翼を合わせ、一本の大剣とした。

そこに<竜ノ逆燐ノジアズ>が集い、鈍色に輝く。

「預言者じゃなくなったキミにはわからないだろうから、予言してあげるよー。キミたちはここで滅び、そして世界は終滅の光に灼かれる。未来はもう決まっているのさ」

カンダクイゾルテの槍が、やはりディードリッヒの拳をすり抜け、次々と彼の体を抉っていく。

血が溢れ出し、剣帝の魔力が空に散った。

「いいえ、転変神」

そのカンダクイゾルテの剣を、ナフタは内側から水晶玉に突き刺していた。

「ディードリッヒとナフタ、この両眼めが希望を見つめている限り、未来は決して決まっていない」

限局されたはずのナフタの剣が、しかし、未来世水晶を粉々に砕いた。

「それが魔王が教えてくれた、アガハの未来――そして、この世界の未来です」

ギェテナロスが、驚愕したようにその神眼めを丸くする。

すべての未来を見るはずの神眼が、見逃した未来。

かつての未来神ナフタが辿り着けなかった光景が、そこにあった。
Bump. Thanks for the first one
 
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